さくらいろ
そして神木くんのほうをまた見る。
神木くんが指から目線をあげた。
……ばちり。
「…っ、先生保健室いってきます!」
まるでこれ以上心臓が高鳴るのをさけるように。
勢いよく立ち上がって教室をとびだした。
…そんな絆創膏をはるほどのけがでもなかったかもしれない。
ちょっと押さえてれば血ぐらいとまったと思うけど。
なんか、空気読んで絆創膏もらいにいこうと思った。
周りが授業中なのと、ここが北校舎で美術室とかそんなのばっかりなせいで、周りはすごくシンとしていた。
廊下を歩くと、自分の足音がやけにひびいた。
しばらく歩いた時。
……たん…たんたんっ
後ろから、足音が聞こえる。
階段を下りてくる音。
…こっちにきてる?
後ろを向いた。
「…荻野!」
なんで?
走ってきたの?
追いかけてきたの?