さくらいろ
「まぁ、風邪が治ったならよかったよ」
そういって美夏は一枚の紙をうちに差し出した。
「はい部活の日程表」
「あ、どーも」
吹部は、1年生も部活に本格的に参加するのは明日からだった。
ということでウチのクラスの吹部の分は美夏がまとめてもらってきてくれたらしい。
予定表にざっと目を通すと、ほとんど休みがないことが分かった。
「いそがしくなりそうだね」
「なんてったって、甲子園あるしね!」
…甲子園。
「地区予選から応援行くみたいだから、頑張って吹かなきゃね♪」
…高校野球。
「それって…いつからだっけ」
「んー…予選は6月の半ばかな?」
反射的に神木くんを探した。
目で。
「甲子園で吹けたらすごくない!?ねぇ、杏里!」
ばしっと背中をたたかれて、我に返った。
「主役は野球部でしょ」
…なんとかとっさに言葉を返した。