さくらいろ
胡桃だけじゃなくて、美夏のこともこんなふうに思ってしまうの?
どんだけ心狭いのよ。
―――最低。
「つか荻野、風邪大丈夫なのかよ」
「…えっ」
とっさに話題をふられて、声が裏がえりそうになった。
「う、うん。もう平気だよ」
それだけ答えて、神木くんから顔をそらして、下を向いてしまった。
自分の最低な心の中身がばれてしまうような気がして。
「おい、ほんとかよ」
「え?」
さっきとは別の方向から声がして、思わすばっと顔をあげた。
「わっ?!」
「クマすごいけど。ちゃんと寝れた?」
……びっくりした。
神木くんはうちが顔を背けた方向に回ってきて、うちの表情をうかがっていた。