さくらいろ


「へ…平気平気、大丈夫」

…思わず作り笑いしてしまった。

神木くんにはしたくなかったのに。


『お前、笑ってた方がいい』


…ずき。

胸がうずく。


「そか。ならよかった」


神木くんは、少しだけ笑みを浮かべた。

だけどまたすぐに元通りに、いつものポーカーフェイスにもどった。


「あ、そういえば……」

神木くんがこっちを見て何か言いかけた。

そのとき。


キーンコーン…

「はい、席ついてー」


朝の予鈴とともに先生が入ってきた。


 

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