さくらいろ
「そいえばさ、昨日勝手に神木にアドレス教えちゃった!」
ごめん!
と言って顔の前で両手を合わせる彼女。
「あー、いいよいいよ」
…正直な気持ちは、神木くんからメール来て嬉しかった。
ただそれを胡桃に渡そうと思うともやもやするけど。
「でも何で神木くんにうちのアドレス渡したの?」
うちはずっと気になってたことを美夏に質問してみた。
「あーそれはさ、神木がくれって言うから」
「…えっ」
横の席を見た。
今日も彼は机に突っ伏して寝ている。
朝練で疲れているんだと思う。
「何でうちの欲しかったんだろ……」
「さあ? 風邪が心配だったんじゃないの?」
なんか。
じんわりこみ上がってくる何か。