さくらいろ
「甲子園…行ってくれるかなぁ」
思わずそんな言葉が口から出た。
「行けるっしょ!うちの野球部強いもん」
去年の夏も甲子園に行っている我が校の野球部。
「神木は1年だから出れるか分かんないけどね」
期待の新人ピッチャーであるが、1年なのでまだ試合には出れないだろうと言う。
「そっかぁ…」
吹きたいな。
神木くんが出る試合で。
「吹きたいね!神木が投げる試合でさぁ!!」
美夏が自分が思ってることと同じことを言ったので、びっくりして目を丸くした。
美夏はニカッと白い歯を見せて笑った。
「そうだねっ!」
思わず笑みがこぼれた。
…そのとき。
「杏里ー!」