さくらいろ


「おい、荻野」

「え?」


振り返る。


…さっきまで寝てたはずの神木くんが目を開いている。

相変わらず机に寝そべってるけど。

目はこっちを向いていた。


「俺らも次、現国だけど」

「…………え、嘘」


キーンコーンカーンコーン


忘れてた。

現国は胡桃のクラスと先生がちがうから、時間割が被ってもおかしくないんだ。

うちは教科書を忘れたことになったまま、借りに行く時間もなく授業開始のチャイムが鳴ってしまった。

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