さくらいろ


…やばい。

やばいやばいやばい。


両手で顔を覆った。

頬をつねった。


そうでもしないと。

自然とこみ上げる笑みが、神木くんにバレてしまいそうだった。


『杏里ー!』


…ずきっ。

さっきの胡桃の呼びかける声が、聞こえた気がした。


ずきずき。


…相変わらず胸がうずく。


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