さくらいろ


こんなに心臓がうるさい。

神木くんに聞こえないかな。

…聞こえちゃうかな。


あ、

神木くんが教科書に何か書こうとした。


でも杏里側のページに書きたいみたい。


「ちょっと、ごめん」


神木くんは小さい声で言った。

教科書を自分の方に引き寄せるのかと思った杏里は

「いいよいいよ」

と言って、教科書を彼の方に差しだそうとした。





< 78 / 185 >

この作品をシェア

pagetop