さくらいろ
そんな調子で、内容なんて全く頭に入らないまま授業が終わってしまった。
何にも考えられなくて、ひたすらもーっとしていた。
ただ。
神木くんだけが気になって仕方なかった。
真面目にノートとってて、偉かったな。
どんな表情で授業受けてたのかな。
すごく気になったけど。
そんなの盗み見る余裕なんてないに決まってる。
神木くんが机の位置をもとに戻そうとして、はっとした。
授業は終わったんだった。
お礼、言わなきゃ。
「か、神木くん」
「ん?」
「あ…あの」
言え。
ありがとう、って
それだけでいいから。
ちゃんと神木くんの方みて言え。