さくらいろ
「あぶねっ…!」
…どさっ。
誰かに突っ込んだ。
転ばずには…すんだ。
たまたまそこにいた人にぶつかった。
…というより、その人が腕で支えてくれたおかげで顔面からコケるという最悪な事態を免れた。
お腹に腕があたって、衝撃が強くてそれはそれで痛かった。
でも顔よりましだ。
「あ……杏里?大丈夫…?」
美夏の心配そうな声が聞こえた。
「いったた………あ!あの、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
ばっと起きあがって顔を上げて誰だか確認するより先にひたすら謝った。
はっとして後ろを向いた。
自分が何につまづいたのか確認するために。