さくらいろ
「ごめん。かばん、床に置いたら邪魔だったよね」
やっぱり神木くんだった…。
うち、何してんだ。
神木くんの大事な商売道具が入ったバッグを蹴飛ばした上に、大事な大事なエースの腕に突っ込むなんて。
ほんと、何してんだ。
…っていうか。
神木くんが助けてくれたの?
神木くんの腕が…。
「うわ…ありえない」
思わず両手で頬を覆った。
そんな神木くんにくっつくとか。
ありえないありえない。
どうしようどうしようどうしよう。
「ちょ、大丈夫?痛かった?」
神木くんは心配してくれてるのか、困った顔をしている。
「ホントごめんなさい!! 教室ではもう走りません、ごめんなさい、ごめんなさい」
どうしていいか分からなくなった。
分からなくて、オーバーヒートしたみたいに何がなんだか分からなくなって。
とりあえず、何か言葉を発さなきゃって、頭がショートしたみたいになって。
ひたすら謝るしかなかった。