さくらいろ


「しっかし驚いたわ…。まさか神木があんな笑い方するなんて」


あれから少したって、部活にいく途中。

美夏がそんなことを言った。


「ほんとだよね…」

うちもそう思う。

神木くんって、ちゃんと笑えるんだ。とか思ってしまった。


「神木もふつうの人間だったんだな…」

「えっ、当たり前でしょ!あはははっ」


美夏が変なことを言うので、おさまったはずの笑いがまたお腹の底からこみあげてきた。


ああ、楽しいな。

楽しくて仕方がない。


このままこんなに楽しい日々が続けばいいのに。


胡桃。

あのさ。


どっちも失いたくないや。


うち、神木くんのこと、本気で好きだ。


もう後戻りできなくなっちゃった。

好きをやめられなくなった。


…やめるつもりなんてない。


ごめん。


< 92 / 185 >

この作品をシェア

pagetop