さくらいろ
*
「…え、何あれ」
見てしまった。
杏里が神木くんの腕の中にいる。
っていうか、突っ込んだ。
一緒に帰ろうと思っていつもどおり杏里の教室まで来てみたら。
杏里の大きな悲鳴のような声がして。
何事かと思ったら、この光景だ。
ねぇ何してるの?
何があったの?
…放心状態の胡桃。
そのあと、起きあがって、ひたすらペコペコ頭を下げ始めた杏里。
謝っているのだろうか。
…どくん…どくん。
焦る気持ち。
何これ…嫉妬?