さくらいろ


「あ……そうなんだ。よく…知ってるんだね」


…目線を伏せた。


初めて話した。

この人と。

…神木優と。


「聞こえたから、朝あいつらが話してたの」

神木くんは言葉を続ける。


「さっきの女とかさ。あんなデカい声で話してたら、寝てても起きるっつーの」


「……え」


目線をあげた。


君の目は、笑ってた。

これ…愛想笑いじゃない。


……ずきん。

ちくりと胸が痛んだ。




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