上野さんと渋谷くん
ケホケホと喉を鳴らしながら、真っ赤になって俺を睨んでる上野さんも可愛いなあ、と呑気に背中をさすっていたら、その腕を払われた。
うわ、ひでえ。
「…っ真っ昼間っから、変なこと、言わないで…!」
「上野さんが、俺の真面目な告白を曲解するからですよ」
ちゃんと俺を意識して下さい。
それで、出来れば俺を受け入れて下さい。
そう言うと、赤い顔のまま、上野さんは唇を噛んだ。…はぐらかしてた自覚はあるんだな、やっぱり。
とりあえず俺の分の牛乳パックを渡すと、即座にものすごい勢いで飲み干される。
その様子を眺めて、俺は妥協することにした。
「じゃあせめて、デートして下さい」
「…せめて…?」
眉を寄せて俺を見上げる上野さんに、肩をすくめて見せる。
「だって飲みだと、身の危険を感じるんでしょ?」
そう言うと、上野さんの肩がピクリと震えた。
「じゃあ、昼間にシラフで会えば良いじゃないですか」
ほーら、解決。
俺が言い切ると、上野さんは考え込んでいる。
その後頭部を眺めながら、本当にこの人可愛いなあと、俺はしみじみ思っていた。