ラビリンス
ウサギを追い掛けるアリスを見ながら私はつぶやいた。
「魔導師って、どこにいるの」
「魔導師は、移動しますから捜すのは無理ですね。
ちなみに、アリスはウサギ見たら最後。捕まえるまで追い掛ける続ける習性があります。
猟犬と同じです(笑)
ああ、初めまして
私は何でも知ってる賢者ですよ…
ちなみにアナタは」
突然現れた賢者に問いかけられて私は慌てて答えた。
「初めまして私は記憶失っています。
何でも知ってる
賢者さんなら私が誰か判りませんか」
息もしないで私はまくし立てた。
賢者はそれを冷静に
聞いていた。
「私が何でも知っていても、アナタは誰かまでは判らない

なぜなら、世の中には必ず理(ことわり)があるんです。
ご自身が、なぜ記憶をなくしたかご存知 ないのと同じ。」
賢者の言ってる事は判らないが、なにを言ってるのかは判った。
要するに
判らないだ…
「アナタの名前は判りませが、その手紙を渡す相手。
姫君を捜す方法は判りますよ。」
「本当ですか」
「はい。白雪姫なら簡単に探せます。
今、アナタの足元に落ちているリンゴの芯、
それを辿れば白雪姫の元へ行けます。」
賢者が指差した先には、点々との芯が落ちていた。
なにうえ、の芯が
疑問符に満ちた私の顔を見て、賢者が答えた。
「白雪姫はが大好き、ダイエットにもなるとか言って、を食べながら歩くんですよ。
だからの芯が落ちている訳ですね。
ちなみに、この国での芯を道端に捨てる行為について、モラルを唱えても意味はありませんから。」
確かに…。
不思議の国だしね。
私は賢者にお礼を言うと、の芯を辿りながら歩いた。
「お礼を言うとは異世界の方は、モラルがおありだ。
さすが…から来た方。」
賢者のその言葉に私は振り返った。
…から来た方。
その言葉に聞き覚えがあったからだ。
しかし、賢者はもうそこには居なかった。
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