ラビリンス
の芯を辿って歩くと、そこには同じ格好をした二人の女性がいた。
「私は…私は
白雪姫よ…ひめよ」
二人の声が音声多重放送みたいに聞こえる。
「でも…でも。
手紙は…がみは。
私達のではないわ。」
今までズレて聞こえていた、二人の声がピタリと重なった。
スゴイ
最後が揃っ
たマナカナみたい
…マナ…カナ
また記憶の扉が開いた。
私が少しずつ取り戻す記憶に感動を覚えている間、白雪姫Sの説明は続いた。
「私達…ち。
王子に招待される姫ではないの…ないの。王子から訪ねてくるのよ。…よ。
だから私達への招待状ではないわ。…わよ。」
ないわ。とないわよ。
白雪姫Sの最後の言葉尻が合わなかった。
ウケる
私が笑うと白雪姫Sは真っ赤になって
お互いに顔を見合わせた。
何か不穏な空気を感じた私は、そそくさとその場を離れた。
白雪姫Sの何か言い争う声が、背後から聞こえたが、私は振り返らず駆け足で先を急いだ。
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