苺より甘いトマト
俊夫は 中学では
ちょっとした人気者であった。
オカマっぽいことは
多少 奇異に捉えられていたが、
そのせいもあって、
男子のスカートめくりごっこにも
参加しなかった。
参加しなかったことで仲間はずれはない。
スカートの中味に興味がないことは
昔から承知の事実だったからだ。
無理もない。
たまに間違えて 用意された女の子用のパンツも文句も言わず履いていたからだ。
他の兄妹も 同じパンツなのだから、違和感はなかったのだ。

女の子の生理の話など 男の子の興味の的にも
精通していた。
妹たちからの相談もよく受けて解決していたので
下手な教師たちよりも 詳しかった。

この相談役としての立場は クラスの女の子たちからも
同様にもてはやされていた。

俊夫が仲間と遊ぶ時には
昔から市子がよくついてきた。
この市子が 俊夫の仲間内では
たいへんな評判をあげていた。


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