キミへの気持ちの伝え方

放課後になり、伊織の教室の前で伊織が出て来るのを待つ。
だけど…。
教室に居る女子達からの視線が痛い。
その中にはさっき伊織と居た子達も居た。
しかも目が合うと余計に騒ぎ出す始末。
俺何かしたか…?
後で伊織に聞いてみるか…。
「英兄お待たせっ!ごめんね、待たせちゃって」
申し訳なさそうに謝りながら伊織が出て来る。
「大丈夫。行こっか?」
「うん…」
ん…?
伊織の様子が少しおかしいような…。
気のせいか?


「「………」」
会話が無い。
いつもなら伊織がその日にあった事を楽しそうに話すのに…。
「伊織、何かあったの?」
「へっ!?」
そう聞くとあからさまに驚く。
何かあったな…。
「俺に言えない事…?」
言いやすいように優しい口調で聞いてみる。
そんな事があったら、あったでショックだけどね…。
「実は…」
「うん?」
おずおずとした様子で口を開き始める。
「昼休み英兄と目あったでしょ?その時にいた子がね、英兄の事カッコイイ!て言い出してそしたら他の子も言い出して…」
それで放課後あんなに見られたのか。
自分の容姿なんて今まで気にした事無かったんだけど…。
「それでクラスの女子ほとんどの子が英兄の事聞いてきてね?それでお兄ちゃんみたいな人って答えたらなぜかみんな私を哀れむような目で見るの…」
なぜだかその人達に謝らないといけない気がした。
クラスの女子ほとんどが気付いてるのに伊織だけが気付かないっていうのはよっぽどだろう。
「別に伊織が気にする事は何一つないよ(気にしてほしいけど…)」
「うん…そうだねっ!」

前途多難…か。

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