キミへの気持ちの伝え方
「英兄っ!」
「おはよ、伊織」
英兄こと水野英人は私のこれから向かう学校の2年生で、ご近所さん。
昔からよく遊んでもらっていて私にとってお兄ちゃんみたいな存在。
優しくてかっこよくて私のじまんのお兄…じゃなかった、ご近所さん。
「…伊織、遅刻するよ?」
頭の中で訂正してると英兄が少し心配そうに聞いてくる。
「え…。うわぁっっ!!本当だ遅刻する!!」
英兄の家は私の家よりも学校から遠いので自転車通学。
だけど私はというと…
「多分今からじゃ間に合わないよ…」
どうしよう…。
ポンポンッ
英兄が自分の自転車の後ろをたたく。
「後ろ乗りな?このままじゃ遅刻するだろ?」
え……
「ほらほら早く乗んないと置いてっちゃうよ?」
私が迷っていると英兄がフワリと優しい笑顔で意地悪を言う。
「やっ、やだ!乗る!」
気付いた時には子供の様にあわてて返事をしていた。
案の定英兄は私の様子をクスクス笑っている。
英兄ってたまに意地悪だ…。
「おいで」
「え、うひゃあっ!」
そして笑いながら私をひょいと英兄の後ろに乗せる。
「ひっ、英兄!!」
「ん、何?」
「…重かったでしょ?」
実は昨日友達と一緒にコンビニで『スーパーBIGパフェ』食べちゃったんだよねぇー…。
家で体重計ったら増えてたし(泣)
こうなるなら甘い物の誘惑にあっさり負けるんじゃなかったよ…。
「んー…思ったよりは」
「う゛…!」
やっぱり…
「軽かった」
「へ?」
嘘…だって私一日で●●kgも増えたんだよ?
「男の力なめちゃだめだよ?」
自転車を汗ひとつかかずに英兄が言う。
いや…だって英兄モデル並に細いし、見た目からして全然力の無さそうな感じだし…。
それで男って言われても…。
……。
「あははっ!」
思わず笑いが込み上げてくる。
英兄がもっとガッシリしてて強い人なら納得だけど英兄は見た目も性格もそんなんじゃないもん(笑)
「…伊織、絶対今バカにしたでしょ……」
「(ギクッ!∑)し、してないよー?」
「ふーん…(あわて方があからさまなんだけどね…)」
この口調完っ全に疑ってるよ~…
だって…ねぇ?