キミへの気持ちの伝え方
そして放課後になると教室の外に思いがけない人物が立っていた。
「あれっ、英兄?」
歩み寄って声を掛ける。
「こんなとこでどうしたの?」
1年生の教室は3階、2年生の教室は2階のはず…。
私の声に気付いて英兄がこっちを見る。
「伊織を迎えに」
そう言って頭に手を置く。
「迎え?」
どういう事?
「あー…最近ここら辺も物騒だろ?伊織を一人で帰らせるのは心配だからって伊織のお母さんにたのまれてたんだよ」
お母さんいつの間に…。
ま、心配してくれてるのは喜ぶべき事かもしれないけど…。
「じゃ、帰ろっか?」
声を掛けられ我に返る。
「あ、う「伊織ー」え?」
返事をしようとすると後ろから淳が来た。
「HRで借りたシャーペン返すの忘れてた!サンキュッ!」
そう言って私のシャーペンを差し出す。
「明日でもよかったのにー」
シャーペンならペンケースに5、6本はある。
「いやー思い出した時にやんないと俺すぐ忘れんだよな。老化現象!?」
なんて淳は真剣になやみ始める
「いやいや、淳…私達まだ16才だよ?」
「まぁな!んじゃ俺部活だし行くわ。また明日な!」
「うん、また明日ね」
軽快に手を振り淳は走っていった。
元気だなぁ。
「……」
ん?
なんか英兄の顔つきが少し険しいような…
「英兄?」
「…!何でもないよ?帰ろうか?」
「うん?」
私が声を掛けるといつも通りの英兄に戻る。
どうしたのかな?