キミへの気持ちの伝え方

*Part3*


<英人SIDE>
危なかった…。
伊織と別れた後自分の髪をクシャクシャにしながら思う。
制服を褒めると恥ずかしそうに頬を赤くしながら笑う伊織を見て思わず抱きしめたくなった。
なんとか抑えたけどね…。
昔からの想いに伊織が気付く事も無くただただ伊織の兄の様な存在を保ち続けてきたというのにこんな所で壊すわけにはいかない。
そう思いながらも、放課後になると伊織の元に行ってしまう。
伊織の保護者として。
そう自分に言い訳しながら。
だから伊織になんでいるのか聞かれた時も不本意ながらも嘘を吐いてしまった。
後で伊織のお母さんに口裏を合わせてもらうか…。
それにしても、伊織と一緒に居た男の顔がやけに頭に残る。
『嫉妬』だという事は自分でも分かってる。
誰とでもすぐに仲良くなる伊織は男女関係なく友達がいた。
その中に伊織に下心を抱きながら近付く男もいたし。
伊織を家に送り届けて自宅に戻る。
両親は結婚記念日で昨日から一週間の旅行に出掛けている。
そんな訳で両親と自分の三人暮らしのこの家にはもちろん自分一人だけという事で。
一緒に来ないかとも誘われていたがあの二人と一緒にいると正直疲れる時がある。
あの二人は昔から俗に言うバカップルというやつで子供の前などお構い無しに二人の世界の時がある。
そんな中に一人混じるのは精神的に耐えられない訳で…。
ただ、両親の様にお互いだけを見て愛し合っているというのには少し憧れる部分があったり。
とりあえず、伊織にバレない内に伊織のお母さんに言わないとな…。
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