今日も桜が綺麗に咲いています。

きっと、この人はその心に抱えきれないほどの重いものを背負っているのだろう。

私はなんて言葉をかけたらいいのかわからず立ち尽くす。

そして、ふと手元に目をやると新しい着物があった。

私はそれをふわりと彼の頭にかける。

驚いた瞳がこちらをみつめる。

「これで少しは雨を防げますよ。そして、その雫もこの着物が隠してくれます。」

「お前、これ、お前の着物だろ?」

「はい。だから気にせず使ってください。」

「いや、そんなわけにはいかねえよ」

困惑気味に彼は着物を見つめる。

「いいんです!!では、風邪をひかないうちに帰ってくださいね?」

「おい!」

私はさっと踵を返しその場を去る。





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