今日も桜が綺麗に咲いています。
そして数日後私はまたあの場所に向かう。

またあの場所にあなたがいるような気がして。

そしてその場所にたどり着いてあたりを見渡しても誰もいなかった。

「ふふ。やっぱりいないわよね。」

苦笑いをこぼしその場を去ろうとする。

「彩愛。」

不意に名前を呼ばれて振り向くとあなたがいた。

「え、あ、お久しぶりです。」

「久しぶりってほどでもねえだろうが。」

そう言って笑いながら近づいてくる。

「そうですね。でもどうしてここに?」

「この着物をお前に返そうと思ってな。今日なら彩愛に逢えるんじゃねえかって思ってな。」

私は驚いて目を見開く。

「私も同じことを思ってここに来たんですよ?」

「奇遇だな。着物ありがとうな。」

そう言ってそっと私の手に着物を渡す。

「いえ。」

「その、お礼といっちゃなんだがこれから茶でも飲まねえか?」

「え?」

「いや、お前が嫌ならいいんだ。」

「いえ!全然嫌じゃないです!!すごくうれしいです。」

そう言うと嬉しそうに微笑む。

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