プリズム
小樽から洞爺湖までの峠のドライブは、緑の木々の連続だ。
木々が途切れると、北海道らしい緑の大地が見えた。
よく晴れた春と夏の間の洞爺湖は、空気が濃く緑に囲まれた湖は穏やかに光っていた。
三人でひと気のない湖畔を散策していると、絵理香は少し腹の張る感じがした。
それを翔に告げると、翔は慌て、なにかあっては大変なのですぐにホテルに戻り、休もうと言い出した。
だが、遊覧船に乗るのを楽しみにしていた礼央はむくれた。
「俺一人でも乗るよ。」
といってごねた。
「わがまま言うなら、もう旅行には連れて来ないぞ。」
翔は父親らしくたしなめた。
「なんだよ、赤ちゃんなんていらないよ。」
礼央は、不貞腐れて言った。
その言葉に翔は珍しく礼央をきつく叱った。
「馬鹿なこと言うな。お前の妹か弟だぞ。いらないなんて言うなよ。」
「ごめんなさい。」
大好きな父に叱られ、礼央はしょげた。こういう時、絵理香はどうしていいか分からなかった。
しゅんとする礼央を慰めたかったけれど、言葉がみつからない。
自分の腹を摩りながら、翔と礼央の様子をみているだけだった。
「夜は湖で打ち上げ花火が上がるんだって。早目に風呂にはいって花火みよう。」
話題を変えようと翔がいうと、花火、ときいた礼央は目を輝かせよろこんだ。
木々が途切れると、北海道らしい緑の大地が見えた。
よく晴れた春と夏の間の洞爺湖は、空気が濃く緑に囲まれた湖は穏やかに光っていた。
三人でひと気のない湖畔を散策していると、絵理香は少し腹の張る感じがした。
それを翔に告げると、翔は慌て、なにかあっては大変なのですぐにホテルに戻り、休もうと言い出した。
だが、遊覧船に乗るのを楽しみにしていた礼央はむくれた。
「俺一人でも乗るよ。」
といってごねた。
「わがまま言うなら、もう旅行には連れて来ないぞ。」
翔は父親らしくたしなめた。
「なんだよ、赤ちゃんなんていらないよ。」
礼央は、不貞腐れて言った。
その言葉に翔は珍しく礼央をきつく叱った。
「馬鹿なこと言うな。お前の妹か弟だぞ。いらないなんて言うなよ。」
「ごめんなさい。」
大好きな父に叱られ、礼央はしょげた。こういう時、絵理香はどうしていいか分からなかった。
しゅんとする礼央を慰めたかったけれど、言葉がみつからない。
自分の腹を摩りながら、翔と礼央の様子をみているだけだった。
「夜は湖で打ち上げ花火が上がるんだって。早目に風呂にはいって花火みよう。」
話題を変えようと翔がいうと、花火、ときいた礼央は目を輝かせよろこんだ。