プリズム
昨晩、翔がなかなか寝付けず、寝返りばかり打っていたのは、同じベッドで寝ている絵理香にも分かっていた。
絵理香自身も一晩中眠れず、ベッドの中でずっと考えていて朝になった。
耳を覆いたくなるような子供への残酷な仕打ちのニュースは絵理香の一番嫌いなものだ。
それが身近に起こってしまうかもしれない。
それが翔の子供だったら…。
うちで引き取らなければ、このままいけば悪いことが、取り返しがつかないようなことが起きてしまうかもしれない。
絵理香は、決めた。
「分かった。礼央くん、うちで育てよう。」
そう告げると、翔は子供のように
「やったあ!」と両手を振りあげて喜んだ。
「絵理香、一生絶対愛してる!」
翔は絵理香に抱きつき、抱え上げた。
突然、身体が宙に浮き、絵理香は「キャッ」と声をあげる。
時々、翔はこういうことをする。
一瞬驚くが、絵理香は笑ってしまう。
「大丈夫。きっと、絵理香なら上手く行く。絶対、大丈夫!」
絵理香の両腕を掴み、翔は目を輝かせて言った。
翔が家裁で親権変更の申し立てを申請すると、すぐに認められ、礼央は翔と絵理香の子供として一緒に暮らすことになった。
玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けると翔が笑顔で立っていた。
翔の後ろに礼央は隠れていた。初めて見る礼央だ。
サイドを刈り上げた短髪に、変身ヒーローのトレーナーを着て、小さなリュックを背負っている。
「ほら。挨拶。」
翔に促されて、礼央は
「こんにちは。初めまして。」
と棒読みに絵理香に挨拶をする。
黒目がちな目をパチパチさせて、見上げるように絵理香を見詰める。
「こんにちは。よろしくね。」
精一杯の笑顔を作り、絵理香も挨拶をした。
礼央は、面差しが翔によく似ていた。
礼央が父親似であったことが絵理香を安堵させた。
礼央の第一印象は良かったが、これからずっと礼央はここで暮らすのだ。
少なくても十三年は。いや、多分、もっとだ。
絵理香自身も一晩中眠れず、ベッドの中でずっと考えていて朝になった。
耳を覆いたくなるような子供への残酷な仕打ちのニュースは絵理香の一番嫌いなものだ。
それが身近に起こってしまうかもしれない。
それが翔の子供だったら…。
うちで引き取らなければ、このままいけば悪いことが、取り返しがつかないようなことが起きてしまうかもしれない。
絵理香は、決めた。
「分かった。礼央くん、うちで育てよう。」
そう告げると、翔は子供のように
「やったあ!」と両手を振りあげて喜んだ。
「絵理香、一生絶対愛してる!」
翔は絵理香に抱きつき、抱え上げた。
突然、身体が宙に浮き、絵理香は「キャッ」と声をあげる。
時々、翔はこういうことをする。
一瞬驚くが、絵理香は笑ってしまう。
「大丈夫。きっと、絵理香なら上手く行く。絶対、大丈夫!」
絵理香の両腕を掴み、翔は目を輝かせて言った。
翔が家裁で親権変更の申し立てを申請すると、すぐに認められ、礼央は翔と絵理香の子供として一緒に暮らすことになった。
玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けると翔が笑顔で立っていた。
翔の後ろに礼央は隠れていた。初めて見る礼央だ。
サイドを刈り上げた短髪に、変身ヒーローのトレーナーを着て、小さなリュックを背負っている。
「ほら。挨拶。」
翔に促されて、礼央は
「こんにちは。初めまして。」
と棒読みに絵理香に挨拶をする。
黒目がちな目をパチパチさせて、見上げるように絵理香を見詰める。
「こんにちは。よろしくね。」
精一杯の笑顔を作り、絵理香も挨拶をした。
礼央は、面差しが翔によく似ていた。
礼央が父親似であったことが絵理香を安堵させた。
礼央の第一印象は良かったが、これからずっと礼央はここで暮らすのだ。
少なくても十三年は。いや、多分、もっとだ。