出会う前のキミに逢いたくて
「悪いけど、顔はいまいち覚えてないな。
というより、あんまりよく見えなかったんだよ。
黒いキャップを深くかぶってたから」

なんと、おばさんの話と同じじゃないか。

おばさんが目撃したストーカー風の男も、黒のキャップを目深にかぶってたという話だった。

きもい…きもすぎる。

「不審者っぽかったですか?」

真顔でマスターに尋ねた。

「うん。そう言われればそうだね」

「怖い!」

「“マヤちゃんが来ないんじゃつまらない”って、すぐ帰っちゃったよ」

どうしよう、本当にストーカーだったら。

マサキのことで超ブルーなのに、これ以上の災難に巻き込まれたくない。

「いらっしゃ~い」

次のお客さんがいらした。
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