出会う前のキミに逢いたくて
右手のウオッチは午後4時半をさしていた。

空が次第にオレンジに染まりつつある。

ついこの間まで夏真っ盛りだったのに。

二十歳を過ぎると、悲しいくらいに1年のサイクルが速く感じられるという。

冬はもうそこまで来ている。

バイトの帰り道、本屋さんに立ち寄った。

この街で一番大きな老舗書店。

自動ドアの前に立つと、ワンテンポ遅れて扉は開いた。

一階フロア奥のスポーツコーナーに向かう。

ファッション誌の棚の前では、たくさんの女子高生が肩と肩を寄せ合っていた。

ほとんど年は変わらないのに、別の生き物に見えてしまうから不思議だ。

彼女たちからするとわたしはもうオバサンなのかしら?

さすがにそれは杞憂かな。

女子高生独特のオーラを放っている。

あたりでフレグランスの香りが漂う。

彼女たちの間で爆発的に売れてる人気ブランドだった。

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