出会う前のキミに逢いたくて
夕暮れ時の公園。


バイトを終えた私は、ブランコに揺られながら暮れなずむ空を眺めていた。


豆腐屋のラッパが聞こえたような気がしたけど空耳だった。


残念ながらどの遊具にも遊び相手はいない。


キッズのみんなは塾か何か?


それともおうちでゲーム?


テレビでアニメでも見てるの?


おかげでブランコはわたしだけのものだ。


今日は練習ないんだ。

夕方、時間作れないかな?

ちょこっとでも会わない?


バイト中、マサキからそんなメールが届いた。


「もちろんオーケー」


光の速さでレスした。


ブランコに飽きたし、そろそろすべり台に乗り換えようかな・・・。


独り言をこぼしてると「キーコーキーコー」というブランコの音が重なった。


ハッとして隣を見ると、ブルゾンを着た大男が窮屈そうに座ってる。


マサキだった。



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