出会う前のキミに逢いたくて
わたしも黙りこくる。


やがて、ぼそりとマサキが言った。


「昨日さあ、雑誌の取材を受けたんだ」


「へえ~」


「この前、おまえも読んだっていってたアマチュア野球誌で、今度帝都リーグの特集を組むらしいんだ。
で、編集の人がオレにインタビューしにきたんだよ」


「インタビューされたの?」


「うん。笑っちゃうだろ」


「インタビューってどんなこと聞かれたの? 想像できないんだけど」


「もちろん、秋の大会のことだよ」


公園を取り囲むフェンス。


網の外を子供たち数人が走り去る。


みんな同じカバンを抱えて。


塾の帰りらしかった。


「でもさあ、その編集の人、ちょっと変わっててさ。
オレたちと同年代。
いかにも新人ですって感じの人で。
なんと“彼女いるんですか?”なんて聞くんだぜ」


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