出会う前のキミに逢いたくて
その夜。


アパートの自室に一人。


わたしは完全に開き直っていた。


マサキに立ちはだかる病魔。


ドクターの話じゃ相当に手強い。


でも、じたばたしたって始まらない。


今日の試合のように、結末は呆気なく訪れるかも。


ハッピーエンドかどうか、悩んでわかることではないし、悩んだって変えられない。


だったら前を向いて、一日一日を胸張って生きよう。


ようやく引き出しにしまっていた日記帳を手にする気になれた。


ここ数週間は一行も書いてない。


目を閉じる。


グランドで起きたすべてのシーンを呼び覚ます。


目を開ける。


今日という一日を事細かに綴った。


過去に起きたすべての出来事は、明るい未来を築く道しるべになるのだから・・・。
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