出会う前のキミに逢いたくて

2度目の対面

次号で秋の大会を特集することになった。


目玉はライバル投手同士のインタビュー。


優勝を飾ったW大のエース・中野くんと、惜しくも優勝を逃したA大の原田くんに、決勝戦の思いを語ってもらう。


オレは副編集長に原田くんへのインタビューを託された。


「この間のインタビュー、なかなか良かったよ。今回もキミのその肩にかかってるからね」


怖いもの知らずの人だなぁ。


素人に毛が数本だけ生えたようなレベルのオレに、重要な特集記事のインタビューを丸投げするのだから。


「恋人の話を探るくだり、すごくいいよ。
普通は警戒して口を割らないもんなのに。
原田くんがキミに親近感を持った証拠だね。
同年代っていいね!」


本当に原田くんはオレに心を許したんだろうか。


だとしたら、申し訳ない。


この前の決勝戦。


原田、ボコボコに打たれろ!・・・そう念じながら観戦したオレ。

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