出会う前のキミに逢いたくて
運ももってる。


決勝まで勝ち上がったことで、プロのスカウトも俄然注目している。


なのに、天狗になってないところがすごい。


前回の取材。


彼はペーペーの後輩部員にも、やさしく接していた。


すごくいい奴に見えた。


なのに・・・結果的にマヤは彼と別れる。


男女の関係を持ったあとで。


そして、今から1年後の春にオレと出会い、恋人同士になる。


マヤと原田くんはなぜ、別れる羽目になるんだろう。


「どうも。お久しぶりです」


ランニングを終えた原田くんが息を弾ませる。


こっちは冷たい風にガクガク震えてるというのに、彼の額には汗がダラダラと流れ落ちる。


「たびたびお邪魔してすみません」


無人のベンチ。


オレは椅子から立ち上がって彼の到着を迎えた。
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