出会う前のキミに逢いたくて
「それでよろしい」


「何が?」


「ありがとな」


「それだけ?」


「うん」


「・・・相変わらず変な奴だな」


そう、オレは前回より半年昔にタイムスリップしたんだ。


1度目は1年前の秋。


そして、今回はその年の春。


あのサラリーマンは毎日同じ日常を繰り返してることになる。


コーヒー牛乳と焼きそばパンとスポーツ新聞で一日の幕が上がる人生。


きっとこの近くに会社があるんだろう。


ますます人生の悲哀を感じる。


オレはこの時代にタイムスリップすることを予期していた。


昨日の夜、眠るとき、目覚めたら必ずこの時代にトリップしてるだろうって確信していた。


だからちっとも慌てない。


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