出会う前のキミに逢いたくて
公園の出口に辿りついた。


朝の車道。


無数の車がせわしなく行き交う。


車道の信号に赤が灯り、横断歩道の両隅のシグナルを青に変えた。


足止めされてた歩行者が一斉に歩き出す。


監督からキューを送られたエキストラの一団のように。


なぜか歩行者は早足だった。


誰かに追われているみたいに。


原因は横断歩道手前でウィンカーを点す一台の大型トラック。


ひげ面の運ちゃんが窓越しで睨んでる。


殺気立ってて、クラクションを叩き鳴らしそうな勢い。


「とっとと渡れよ」


いかつい顔にそう書いてある。


でもオレはわざとゆっくり大股で歩いてやった。


青が赤に変わるまでの間、平等に与えられた権利。


自分のペースで歩かせてよ。


みんな、多かれ少なかれ、哀しみと苦しみを背負ってるんだからさぁ。

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