出会う前のキミに逢いたくて
「原田くん、頑張れ!」


自然と声が出た。


気がつくと、オレの後ろに何人ものギャラリーが列を作っていた。


よし、みんなで原田くんの初勝利を見守ろうぜ。


キミの野球人生は平坦なものじゃない。


それはオレもよく知ってる。


でも、いいでしょ?


だってそもそもキミは、二十歳そこそこで死んでたんだぜ。


そう考えたら、怖いものなんてないはずだ。


前だけを向いて、突き進めばいい。


余計なことは考えず、死に物狂いで打者と立ち向かえばいい。


「第3球を投げました。打ちました! 打ち上げたー。平凡な内野フライ」


ショートを守る小柄な選手がオーライと手をあげる。


グラブを掲げ、捕球体勢に入る。


絵に描いたような平凡な飛球だった。

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