出会う前のキミに逢いたくて
夜道は一段と蒸し暑かった。


アスファルトが日中に吸い込んだ熱を放出するせい?


気持ち悪いくらいに体中から汗が吹き出る。


それを一生懸命吸い取ろうとするTシャツに同情した。


都心から電車で1時間も走ってないのに、都会の光景とは別世界。


身を寄せ合うように建ち並ぶ背の低い民家。


そのほとんどの家々の灯りが落ちていた。


街灯はあることはあるが、小さ過ぎて頼りない。


聞こえてくるのは夜更かしのセミの鳴き声くらい。

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