出会う前のキミに逢いたくて
幸い怪しまれる心配はなかった。
なぜならオレは透明人間なのだから。

自分でも腰を抜かした。
今朝起きたら突然、躰が透明になっていたのだ。

はて。特殊なこの体質をどう利用すべきか。
真っ先に思いついたのがこの、人気ナンバーワン女優の住まいに侵入することだった。

やがてエレベーターがこれ以上の上昇を拒んだ。
ドアが開き、ふたたび麗子が歩を進める。
オレは鼻先を彼女の後ろ髪につけながら追った。
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