出会う前のキミに逢いたくて
「たぶん、その人はパラレルワールドの住人じゃないのかな?」


パリッとしたスーツに縁なしの眼鏡をかけた青年はそう言うと、ストローでグレープフルーツジュースを吸い上げた。


前田くんの仕事関係の知り合いだ。


午後4時のファミレスは、夏休みの講堂のようにがらんとしていた。


「なんだその、パラレルワールドって?」


チンプンカンプンといった様子で前田くんが尋ねる。
彼はこの手の話に疎いのだ。


彼はこの手の話に疎いのだ。


メガネの彼は外資系のIT企業に勤めていて、わたしの周りにはまずいない理系ボーイだった。


メガネくんは笑いながら口を開いた。


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