出会う前のキミに逢いたくて
ガーーーーーーン!

ハンマーで後頭部を思いっきり叩かれたような衝撃が全身に走った。

身体が痺れだす。

飛び出しそうな勢いで心臓が激しく暴れた。

血液が逆流してしまいそうだ。

おいおいおい、いきなり何を言い出すんだよ!

「そ、そ、そうなんレすか・・・」

おざなりの相槌を打つのがやっとだった。

いやいや、相槌を打っただけでもオレは偉いぞ。

口の中がカラカラに干上がって、舌が上下の歯にくっつく。

まさか・・・

初めて会った人から、一番大切にしてる女の子の悪評を聞かされるなんて・・・。

傷口にたっぷり塩を塗りこむように、彼女は続けてこう浴びせた。

「しかもよ、違う相手なのよ」

さらにその上をいく衝撃発言に、おもらししそうになった。

傷口に塩だけでなくトウガラシや豆板醤を塗られたような気分になる。

マ、マヤが夜な夜な違う男を連れ込んでる!?

そんなバカな・・・。

そんなふしだらな女だったのか、かつては。

「よっぽどその女性ってモテるんですね」

オレは必死で平静さを装った。

でも、顔は引きつり、青ざめているはず。

もしかしたら目に涙が光ってたかもしれない。
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