出会う前のキミに逢いたくて
「ほかにもないかな」とコンポの上に積まれたCDの山に手をかけたとき。


淡いブルーの日記帳を見つけた。


彼女が日記をつけていることは知らなかったし、当然この部屋で日記帳を見つけたこともない。


ていうかそもそも、日記を書くような女なのか、アイツ。


そのとき、携帯が鳴った。


開くと、ディスプレイにアイツの名前。


ジャズのボリュームを小さく絞り、耳にあてた。


「もしもしアタシ・・・」


まさか日記帳のそばにオレが立ってることなど夢にも思ってない彼女はいつもの快活な声で話し始めた。


快活を通り越し、ちょっぴり男勝り。


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