出会う前のキミに逢いたくて
「今の若い子って大胆よねー。それとも、何も考えてないのかしら。まあでも、私自身が迷惑しているわけじゃないからいいんだけど。どう生きようがその人の自由だし。他人の私がどういういうアレでもないしね」

「そ、そ、そうレすね」

「あら、ごめんね。余計なこといっちゃったかしら。これじゃあ私まるで、単なるうわさ好きのおばさんよね」

「ハハハ・・・」

そのとおりだよ、という言葉を精一杯飲み込む。

「じゃあ、お勉強がんばってね」

彼女はそう言い残し、ゴミの山に向かったのである。

オレはコンビニまでの道をトボトボとおぼつかない足取りで歩いた。

空模様と同じく、頭の中が真っ白だった。

ちょっと待ってくれ。

マヤはオレが思っているような純な女じゃないのか?

男をとっかえひっかえ、だって!?

にわかには信じがたいけど、村上という女性がウソをついてるようにも見えない。

第一、ウソをつく理由がないじゃないか。

とりあえず真実を探るんだ。

自分で確かめたうえで結論付けよう。

早速、今晩からリサーチだ。

胃がキリキリと痛み始め、食事どころじゃなくなった。

本当は体力をつけるためにカツ丼とかカルビ重とか、がっつり系を買おうと思ってたけど、飲むヨーグルトを買ってやりすごした。

そのあとも空腹を覚えることはなかった。

やっぱりオレって、女々しくて、弱い男なのかもしれない。悲しいけど。
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