出会う前のキミに逢いたくて
「いただきまーす!」


楕円形の皿の上で湯気を放つご飯と具だくさんのルーが場所を奪い合う。


からめるとスパイスの香りが鼻先を直撃した。期待していいかも。


「心して食べたほうがいいよ。
異常なほどおいしいはずから。
下手したらほっぺた落ちるかも。うん、間違いなく落ちるね」


くだらない御託を聞き流しスプーンを口に運んだ。


「うん、マジでうまい!」


「でしょ!」


さっきの強気な態度とは裏腹に、彼女がホッとした表情を浮かべる。


お世辞抜きでおいしかった。


幸い、ほっぺたは落ちなかったけど・・・。


「結構、料理うまいじゃん」


「青山か六本木あたりに店出そうかな…」


ちょっと褒めるとすぐ図に乗る。


昔からこいつ、そうだったよな。


豚もおだてりゃ木に登る・・・それを地でいってやがる。

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