出会う前のキミに逢いたくて
「なあ、こんな都市伝説知ってるか?」


空になった皿を眺め、食後のコーヒーをすすりながらオレは口を開いた。


オレが体験したタイムスリップを都市伝説ということにして話して聞かせた。


もちろん、名前は全部仮名だ。


Tシャツに短パンという少年のような装いの彼女は床に体育座りをして耳を傾けた。


「へ~、なかなかよくできた話だねぇ。初めて聞いたよ」


「で、おまえだったらどうする?」


「何が?」


「だから、主人公の立場にたったとき、彼女の元カレに死んでもらって自分がくっつくか、元カレを助けて自分が身を引くか」


「難しい選択だねぇ」


あぐらをかき、腕組みして、真剣モードで悩んでやがる。

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