出会う前のキミに逢いたくて
テレビを切ってるから部屋はクーラーの鳴き声だけ。
それと、考えをめぐらす彼女の唸り声。


しばらくして、やっとといった様子で回答が導かれた。


「やっぱ私も主人公と同じ選択をするかな・・・」


オレを真っすぐ見つめる。


澄んだ瞳の奥。


そこには、確かにオレが映っていた。


嘘偽りのない、純粋なまなざし。


きっとコイツ、「マヤ」をオレに置き換えたんじゃないかな。


でもって、「オレ」を自分、「原田くん」を架空の彼女に置き換えて。


やがて彼女の何気ない一言がオレの動揺を誘った。


心の中を見透かしたような目で、こうつぶやく。


「私、誰のことを思って考えてたと思う?」

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