出会う前のキミに逢いたくて
そんな子どもみたいなやりとりはなおも続いた。


「もしもタイムスリップできるならだよ、大学の電話番を買って出るね」


「どういうこと?」


「ほら。その超能力者、電話で伝えてくれただろう。
原田っていう生徒が病気に蝕まれてるって。
その後、電話受けた職員が半信半疑でオレに知らせてくれて」


「そして半信半疑で検査受けたらホントに病魔に巣を作られてたという展開だったよね」


「つまり、超能力者の電話を自分で受けたいんだ。
正確にはどんな風に説明したのか。
どんな声の人物なのか」


「お礼をいいたいの?」


「もちろん。知らせてくれてありがとうございます、と。お酒の一杯でもおごらせてください、とね」


「マジでどんな人なんだろうね・・・」


二つのカップにコーヒーを注ぎながら脳裏に人物像を描いた。
ダイニングが香ばしさで満たされる。


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