出会う前のキミに逢いたくて
①およそ1年前、マヤに彼氏がいたこと。

②その彼氏とは1年くらい付き合っていたこと。

③なんと…1年前、マヤと彼が結ばれたこと。

百歩譲って①は我慢できるよ。
かわいいし、性格だって悪くないし、料理もうまいし、家庭的な面があって、将来結婚すれば100パーセント、いい奥さんになるような人だから。

かつて何度かそれとなーく、オレと出会う前に恋人がいたかどうかの探りを入れたとき、マヤは「いない」というニュアンスをこれまたそれとなーく伝えてきた。

マヤはウソをついてたことになる。
でも、あれほどの女の子に恋人がいなかったほうがかえっておかしいよ。

②も我慢できます、はい。

「恋愛は時間じゃなくて密度」というのがオレの持論だ。

オレたちが付き合いはじめて4ヶ月。
で、元カレとの交際期間が1年。
ということは、元カレの3分の1の時間しか一緒にいられてない計算になるけど、そのうち追い越せるでしょう。

けど、③だけはどーうしても我慢できなかった。

ずっとマヤをバージンだと思い込んでた。

小動物のかわいいペットちゃんのようにクリッとした瞳、遠慮がちだけど形の良い
小さな鼻と唇、見ていると思わず抱きしめたくなる華奢な身体。

そのどれもがまだ、誰にも触れられてなくて、近い将来、オレのものになると思い込んでいた。

早ければ数週間後の彼女のバースデー、遅くても2ヶ月先のクリスマスに・・・。

すべてが一方的な思い込みということになる。

そんなことを気にするオレは器の小さい男なのだろうか。

いやいやいや、そんなことはない。

嫉妬してなにが悪い!

嫉妬するということはそれだけ好きだということだ。

嫉妬されなくなったら人として終わりだ。

オレは強くそう思う。

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