出会う前のキミに逢いたくて
それならば過去の悲しみも共有すべきじゃないのか。

痛みの半分ずつを分け合うべきじゃないのか。

それとも、まだオレに打ち明けられるほど、気持ちの整理がついてないのかな。

あるいは、オレが思うほど、マヤはオレに心を開いてないのだろうか。

いずれにせよ、本人に直接聞くわけにはいかない。

なぜなら今このタイミングでオレがマヤと接触したら、オレたちの未来は変わってしまうから。

よくSF小説なんかで、そんなことが書かれてるじゃないか。

信じられないけど、オレという存在はもう一人、この時代にいるのだ。

ここから数キロ離れた街で、だらけた生活を送っているはずなのだ。

えーっと、1年前のオレって何してたっけな?

そうそう。たしかパチスロにハマり、大損をこいていた。

金欠で朝飯と昼飯は抜き。いつも野良犬のように腹をすかせていた。

我ながらくだらない日常だなぁ。

オレとマヤは来年の春に共通の知り合い主催の飲み会で知り合うんだ。

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