出会う前のキミに逢いたくて
「ひどいっスよ。覚えててくれてないんスかあ?」

思い切ってかまをかける。

「あら!? 前にもいらしたことある?・・・そうでしたか。それはそれは、大変失礼いたしました」

マスターが作り笑顔を顔に貼り付けて詫びる。

「ホントにもう・・・」脇に冷たい汗がつたった。「で、マヤちゃんは今日来ないの?」

「お客さんも彼女のファンですか?」

「えっ?・・・まあ、そうですね」

知らなかった・・・マヤはけっこう、常連客に人気があったらしい。
マスコット的役割を果たしてるってこと?

「残念ですが、なんでも、体調がすぐれないとかで、しばらくの間、休ませてくれとさっき連絡があったんですよねー」

やっぱりそうか。

アルバイトどころじゃないんだ。

マヤ、キミの身に一体何が起きたというんだい?

激しく知りたい。
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